秘め恋ブルーム〜極甘CEOの蜜愛包囲網〜
今日は本当にどうしたことだろうか。彼女と両想いだっただけでも嬉しいのに、俺の中の最高を更新するようなことが起こった。


喜びでどうにかなりそうで、全身の血液が心臓に集結する。必死に理性を総動員させていなければ、このまま押し倒すところだった。


「でも、本当に私でいいの? 私は――」

「香月」


たしなめるように、名前を呼ぶ。その意図に気づいたらしい香月が、困ったように微笑みながらも小さく頷いた。


「諏訪くんは変わってるね」

「そう?」

「うん。諏訪くんなら引く手数多なのに、私みたいに手のかかる人間を選んでくれるなんて、ちょっと変わり者だなって思うよ」


クスクスと笑う彼女のどこかはにかんだような表情が、この場を明るく照らす。


「でも、諏訪くんが他の人を好きにならなくてよかった」


その上で容赦なく心を掴みにこられて、理性がぐらりと揺らいだ。


思っている以上に忍耐を要する事案に早くも遭遇し、今すぐに香月の手を離さないと危険だと頭の中では警鐘が鳴る。
それなのに、彼女が可愛いせいで離れがたくて、ジレンマに苛まれた。


本当に、恋とは曲者だ。


「諏訪くん?」

「……今はあんまり見ないで」


俺の様子を窺おうとした香月から逃げるように、パッと顔を背ける。刹那、視界の端に映る彼女の顔が再び真っ赤になったのが見えた。


俺たちはまるで中学生のように照れ合い、それでも手を握ったままでいた――。


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