冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~


遠回りしてしまったが、やっと掴んだ幸せ。澪は身もだえしてしまいそうなくらい幸せでいっぱいだった。

頼れる夫に、可愛い娘。この上ないくらいの幸せで、澪の顔は緩みっぱなし。

人は自信がつくと、笑顔になれるのかもしれない。これまで澪に足りなかったのはきっと自信。

今は母になったことを誇りに感じ、社長である匠馬を支えられるのは、自分しかいないと自負している。

「澪、愛してる」

匠馬はベッドにいる澪を抱きしめた。

「もう、何度も聞きましたよ」
「何度も言うさ。死ぬまでずっと言い続ける」

甘い夫の囁きに耳が溶け落ちてしまいそうだった。


それから二日後、母子ともに健康ということで無事退院できた。

そして落ち着いた頃、匠馬は光江に改めて挨拶に来てくれた。これまで支えてくれたことに礼を言い、自分の不甲斐なさを謝罪していた。

澪と美雨を命に代えてでも守りぬくと、頭を下げていた姿には、思わずうるっとしてしまった。


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