冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
ちょこんと端の方に座る澪を見て、匠馬は濡れた髪をタオルで拭きながら首肯する。
「なぜ正座。地蔵かお前は」
「社長、それでは私はこれで失礼いたします」
三つ指を突き、丁寧に頭を下げる。さっきまで少女のように頬を染めていた澪はどこへ行ったやら。すっかり秘書の顔に戻っている。
「では」
すっと綺麗な所作で立ち上がると、匠馬が「待て」と言った。
「あの、まだなにか御用でしょうか」
「あぁ。お前に重大な任務を任せたい」
「はい。かしこまりました」
ハッキリした口調で答えると、匠馬はニッと、微笑を浮かべる。その裏には、私欲が孕んでいる。
だがそんなことを知る由もない澪は、匠馬の命令を、今か今かと待ちわびた。