冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
すでにヒールや、インスタントものをやめている。
「2100円になります」
「ではこれで」
「ありがとうございます」
レジでお金を渡し、お釣りを待つ。その時ふと、店内でお茶をする男女に目がとまった。その瞬間、どくんっと心臓が早鐘を打った。誠だったのだ。
誠は若い女性と一緒にいて、なにか頼んでいるように見えた。澪は嫌な予感がして二人の会話に耳を集中させた。
「父さんが入院してさ。こんなこと頼めるの他にいないんだ」
「いくらいるの?」
「とりあえず、100万……」
それを聞いてやっぱりと思った。また同じことを繰り返しているのだ。澪は店員からお釣りを受け取ると、誠の席までつかつかと近づいた。
首を突っ込むなと警鐘が頭の中で鳴り響いていたが、正義が勝った。澪は自分みたいに悲しい想いをする人を、だしたくないと思ったのだ。
「林田さん」
「み、澪さん!?」
「偶然ですね。またお金をだまし取ってるのですか」
「な、なにを言うんだ君は」