冷徹御曹司の最愛を宿す~懐妊秘書は独占本能に絡めとられて~
社長室から下がると、澪は早速秘書室で割烹料理屋を探し、それが終わると書類のファイリングに取り掛かった。
以前匠馬からファイリングを気に入っていると褒められ、それが嬉しくてさらに見やすいように趣向を凝らしている。
匠馬につくようになってから、匠馬の役に立ちたいという気持ちは日に日に増した。そしてあの日から一人の男性として見るようになった。
匠馬が言ったように、これからは公私ともに傍にいたい。支えたい。この子と一緒に。
(早く教えてあげたいな)
バッグにしまってある母子手帳に目を落とすと、お腹を撫でながら柔らかく微笑んだ。
だが幸せな気分も束の間だった。翌日、澪を失意の底に落とす出来事が起こったのだ。
澪は仕事が終わると近くのコーヒーショップに寄っていた。妊娠したらカフェインはあまりよくないと知り、カフェインレスのコーヒーを買いにきたのだ。
妊娠、出産は未知のことだらけで、調べれば調べるほど、変更しなければならないことが多々でてきた。