影がいるから私がいる
知られざる運命
~此処では無い何処か…今では無い刻…物語は【沙楽(さら)】という国の中にある村の一つ…【藍那(あいな)】で始まった…



「おーい、海希ー。
早くこっちに来いよ。」

私を呼んだのは同い年
(19歳)で幼馴染みの相賀 淕(そうが りく)
背が高く、髪は少し長いので後ろで結んでいる。
私の方が髪は短いんだよね。


「待ってよ、りっちゃーん。」


私の言葉に、りっちゃんは急に立ち止まった。


「お前なー、いい加減その呼び方はやめろって。」


りっちゃんの言葉に、私は膨れっ面で、


「だってー、小さい頃からこう呼んでたから、今さら変えられないよー。」


私の抗議に対してりっちゃんは、私の頭を撫でながら、


「分かった分かった。
ほら、来いよ。」


そう言うとりっちゃんは、私の手を取って引き上げた。
切り立った崖の頂上に立った私は、目の前の景色に見とれてしまった。


青空と夕焼け空が景色を二分し、遥か彼方は雪が降っていて太陽に降りかかっているようだった。
私が目の前の景色に見とれていると、隣りに居たりっちゃんが話し始めた。


「綺麗だろ?雪は思わぬオマケだったけど、この時間・この場所が一番綺麗に見えるんだ。

一度はお前に見せたいと思ってたんだ。」


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