溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
悪気のない言葉

~加那斗side~

杏花さんの術後の経過は良好。

俺は手術から三日後に見舞いに足を運んだ。
「社長…」
杏花さんは上体を起こして俺を出迎える。

「寝てていいですよ…直ぐにお暇するので」

「そう言うワケにはいきません」

「杏花、社長がそう言ってます。寝てなさい…僕たちは外に出て話をします…」

俺と常盤は病室を出た。

「奥さんは大丈夫そうだな…」

「はい…今は三つ子の方が気がかりです」

彼の話によれば、三つ子の体重は三人とも1000グラム以下。
週数的に生存率は七割を超えているが、保育器の中の我が子たちの姿を見ていると色々と思い悩んでいた。

俺も自分の血を分けた子供…奏多と対面を果たした。週末には七海と入籍して、一児のパパとなる。
一人でもちゃんと育てていけるか不安なのに。
常盤は突然、三つ子のパパとなった。

その不安要素が一気に三人。
常盤の性格上、神経質そうだし、内心心配していた。
「そう…気にするな…」
「頭ではわかっているのですが…全員、未熟児ですし、何か障害がないか心配です」
「そっか・・・」
常盤もすっかりパパの顔を見せていた。
「それよりも名前は考えたのか?」

「はい、長男が凛人(リント)長女は花(ハナ)次男は柚人(ユズト)です」

「そっか…三つ子ちゃんに名前は付いたんだな…」



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