溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
最後の夜
私は「失礼します」と一礼して秘書室に戻る。

肩を落とした彼の寂しい顔。

私を引き留めようとはしなかった。

それだけ、彼も周りに囲い込まれ、動けないんだろう。

*******

外出の為、二人で地下駐車場に直結するエレベーターへと乗り込んだ。

「皇さんは先に下りて…車で待機しています」

「そうか…急がないとな」
「先方の濱部社長には私の方から連絡を入れておりますので、ご安心を」

「あぁ」

会議が長引き、取引先のアポの時間に差し迫っていた。

扉が閉まり、階のボタンを押すけど反応ナシ。
「!!?」



私は慌てて階のボタンを何度も押すけど、うんともすんとも言わない。

「どうした?」

次の瞬間、エレベーター内の電気まで消えた。






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