溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
強そうに見えて、何処か儚げな雰囲気のある彼女。
時々見せる憂いのある瞳が気になっていた。
社内では堅物の秘書で通っている彼女の素顔に惹かれ、俺は惚れてしまった。
そして今は彼女だけを愛している。
七海と居られる週末が俺の一番楽しい時間だった。
「お前が結婚を渋る理由は分かっている…秘書の笹倉七海だろ?」
「父さん!?」
「このわしが何も知らないとでも思っていたのか?タダの遊びだと思って、目を瞑っていたが、どうやらお前は笹倉に本気のようだな…」
父の険しい表情と睨みが俺の心に突き刺さる。
「…いいか?裕美さんとの結婚は絶対だ…加那斗!!笹倉とは別れるんだ!!命令だ!!」
父は大声を上げ、俺を叱責した後、急に胸を押さえた。
「会長!?」
側にいた秘書の皇さんが父に寄り添う。
「話は終わりですね俺はこれで失礼します…」
俺は踵を返して、会長室を出て、社長室に戻った。