陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく
「ひと月くらいしたら何か行事あったんじゃなかった? 確か球技大会だったかしら?」

 おばさんの言葉で思い出す。

「あ、そういえば明日のHRで出場種目決めるって言ってました」

「げ、そうだっけ?」

 記憶を思い起こしながらそう口にすると、陽呂くんが頬を引きつらせながら反応した。

 球技大会はチームを組むものの方が多い。

 基本一人でいたい陽呂くんには辛いんだろう。


「球技大会か……種目は基本的なものが揃っている感じかな?」

 安藤さんが少し考えながら真面目な様子で聞いてきた。


「え? はい。バレーとかサッカーとかバスケとか」

「卓球はあるかい?」

「はい、卓球もあったはずです」

 聞かれるままに答えると、安藤さんはもう一つ追加で聞いて来る。


「その卓球はペア? 個人?」

「え? えっと……確かどっちもあったと思います」

 結局のところ何が聞きたいのかが分からなくて、戸惑う。

 でもそんな質問もここまでだった。


「じゃあ陽呂くんは卓球の個人戦で決定だな。陽呂くん、手加減を忘れずに」

 と、陽呂くんの出場種目を勝手に決めてしまった。


「ん? あー……そうっすね。そうします」

 そして陽呂くんは陽呂くんで納得したらしくそう返事をしていた。
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