陰キャの渡瀬くんは私だけに甘く咬みつく
「陽呂くん?」

「うん、まあ……今朝の様子を見れば分かるけど……それ、今ここで言うの?」

「え? ダメだった? でも、それを相談したかったから……」

「……まあ、変に他の奴に相談しなかった分マシだけど……」

 少し呆れを含んだ目で見られて居心地が悪くなる。


「だ、だって……こんなこと陽呂くんにしか相談できないし……」

 言い訳を口にすると、頬にあった陽呂くんの指があたしの髪を寄せるように耳に掛けた。


「ん、そうして。美夜、可愛すぎるから変なやつに襲われそうだし」

「可愛すぎるってことはないと思うけど……」

 それに、いつも襲ってるのは陽呂くんじゃない? という言葉は吞み込んだ。

 万が一、今また襲ってあげようか? なんて言われたら困るし。

 下におじさん達いるし……。


「……まあ、でもその状態だと確かに練習は必要だよな」

 頬から手を離した陽呂くんは、あたしに向き直って両腕を開いた。

「?」

 軽く小首を傾げて疑問符を顔にも浮かべる。


「とりあえず、抱きしめるところから練習」

「とりあえずって……」

 抱きしめるだけならいつもされてるし練習になるのかな? とさらに疑問に思う。

 でも、実際に練習は必要だとあたしも思ったから……。
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