GET BACK TOGETHER
私服だ。

私に気付いていない光輝は昔のような穏やかな顔で歩いている。

そんな顔に胸は高鳴る。

私の足は勝手に光輝へと向かう。

今なら昔のように話せる気がする。

私に優しく笑いかけてくれる気がする……。

すると目が合った。

光輝も私を見つけたようで目を見開いた。

私はいつも目が合う度に見せてくれた目尻を下げた優しい顔が見られると思っていた。

それなのにバッと勢いよく視線を外された。

そして光輝はすぐに踵を返すと私から遠ざかるように背を向けて歩いていく。


え……?

避けられた……?


あ…………



その時、気付いた。

今日は土曜日で殆どの会社が休みだ。


まさか、彼女が近くにいる……?


背中に冷たいものを感じた私も踵を返した。
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