冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する。
「…よろしいのですか?」
「勿論だ。家を売り払ったのならこれからは一緒に住もう。4人で、暮らそう」
「坊ちゃま…っ」
「まり子さんっ」
「千聖ちゃん…っ。よろしく、どうかよろしくお願い致しますっ」
こうして、まり子さんを無事に説得することが出来たわたし達は、翌朝村を後にして、そのあしでそのまま産婦人科医を受診して、わたしは妊娠2ヶ月だと言う事が判った。
ご両親は狂喜乱舞し、仁さんはベビーグッズや子育ての本を片っ端から買い漁り、産婦人科でのパパになる為の教室にも熱心に通った。
そして月日が流れ、無事に安定期に入った頃
仁さんに聞いてみた。
「ねぇ、仁さん?瑠璃子さんみたいにこの子が仁さんの子じゃないんじゃないかって、なんで疑わなかったの?」
仁さんはパソコンに向かいカタカタを小説を書きながら、
「疑う余地なんでないだろう?」
「よし、出来た」と、パソコンを動かす手を止めてこちらへ歩み寄る。そして、
「ーーーーーーー」
その言葉に、わたしは心の底から幸せを感じたのだった。
「坊ちゃまー!千聖ちゃーん!お茶が入りましたよー!」
下からまり子さんが呼んでいる。
「ふふっ、行こう、仁さんっ!」
「千聖っ、待てっ!ゆっくり階段降りなさいっ!!」
結婚から始まったわたし達の物語は
まだまだ続いてく。
きっと、ずっとねーー?
「冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する」
2021.9.26
ーーーfinーーー


