冷徹な恋愛小説家はウブな新妻を溺愛する。
検査薬を使うのは勿論初めてだったから、やり方とかちゃんと合ってるのかおっかなびっくりだったけど、1分経ったぐらいで検査薬にラインが2本立った。
ラインが2本浮き出るのは、妊娠している可能性が高いって事らしく…。
外で待っていたまり子さんに検査薬を見せると、まり子さんはクシャリと破顔した。
そして、そのまま部屋に戻ると先生が仁さんを呼んだ。
「先生、千聖はーー、」
「ご主人。落ち着いて聞いてくださいね。奥様は妊娠されている可能性が高いことがわかりました」
「ーー!?」
先生の言葉に、これでもかと目を見開いた仁さんはその視線をわたしへと移し、また先生へと直った。
「先生、それは間違いないのですか!?わたしはーーっ、」
「わたしは産婦人科医ではないので、間違いないとは言い切れません。が、高い確率でそうかと思われます。ーー奥様も信じられないと驚かれましたが…。どんな医者でも神様からの贈り物を100%予知することは出来ません。ご自宅に帰られたら直ぐに産婦人科に行ってくださいませ」
「仁さん、わたしーーー、」
「ちさと…」
わたしの名を呼んだ仁さんの綺麗な瞳から涙がスッと一筋流れ、頬を伝った。
「仁さっ…!」
わたしの目からも涙がボロボロと溢れ、そんなわたしを仁さんは優しく抱きしめる。
「ありがとう、千聖っ。ありがとう…っ」
何度も涙声でお礼を言う仁さんがたまらなく愛しくてわたしもちからいっぱい抱きしめ返した。
そんなわたし達を涙ながらに見ていたまり子さんの方に向いた先生が、
「まり子ちゃん。あまり強情張ってないでこのおふたりの側にいてあげなさいよ。このふたりがまり子ちゃんのことどれだけ必要か自分でもよく分かったでしょう?」
そうまり子さんに優しく諭す。
それを聞いていたわたしと仁さんもまり子さんの方へ居直り、
「まり子さん、帰ってきてください」
「まり子さん。頼む。帰ってきてくれ」
頭を下げた。