相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「今日は存分に飲めるぞ…マキ」

同期医師の心臓血管外科の世良黒人(セラクロト)さんが瓶ビールを持って、私達の居る高砂席に現れた。
私達の披露宴の列席者は院内恋愛だから、医者仲間ばかり。
皆、テーブルでフレンチコースを食しながら、酒を飲んで盛り上がっていた。
病院は研修医ばかりが残っている。こんな時に、未曽有の事故が起きたらと思うと不安になる。

「そう言われても…俺はあんまり飲めないし」

奏弥さんはアルコール類はまるっきしダメ。

とりあえず祝い酒だから…グラスにビールを注いで貰っていた。

「飲めないと言っても、一口ぐらいは飲めるだろ?マキ」

「・・・一口だけなら…」

奏弥さんが一口ビールを飲もうをグラスを傾けた時、京弥さんが駆け込んで来た。

「飲むのは待っただ!!奏弥。頼む、俺の代わりに林さんのお産に行ってくれ!!」

「はぁ?さっき交わした約束と違うんだけど…兄貴」
奏弥さんは腰を上げて反論した。

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