相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
一階の奥の小ホールが会場。
大勢の初産の妊婦さんとその旦那さんが勉強会に来ていた。
多分、奏弥さんの講師役に惹かれて、出席していると思うけど、仕方がない。
「プレパパ・プレママの勉強会にようこそ。
講師役の槇村奏弥先生は緊急帝王切開のオペで本日は欠席となりますが…代役として、妻である新生児科医師の槇村遥が講師を務めさせて頂きます。何卒、ご了承下さい」

私はステージに立ち、挨拶をした。
そして、彼の作成した資料を基にプロジェクタースクリーンを使い、妊娠のメカニズムから説明を始める。

そして、私の話が終わり、十分間の休憩に入る手前。

「御気分が悪いと思われる妊婦さんがいらっしゃいましたら、ご遠慮なく申し出て下さい!!」
マイクでステージから問いかけた。
妊娠初期の妊婦さんは個人差があるが、悪阻で体調を崩す人が多い。

例え、二時間でも主催する側としては妊婦さんへの気遣いを忘れていけないと奏弥さんに釘を刺されていた。

「いらっしゃらないようなので・・・今から十分ほど休憩を取らせて頂きます」

十分間の休憩に入った。




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