相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
五月半ばを迎え、産婦人科医局のデスクで事務作業していた。

「んっ?」

プライベート用のスマートフォンが鳴り響く。

液晶画面に表示された名前は高屋副社長


「もしもし・・・槇村です…」

――――槇村…先生…梓と子供を…た・・・助けて下さい・・・

彼の声は痛みを堪えながら絞り出すような声だった。

「何があったんですか?高屋副社長」

ーーーー事故に…遇い・・・ました・・・

「事故!?救助要請はしましたか?」

――――あ・・・はい・・・

「場所は?」


―――奥・・・多摩・・・

でも、その声を最後に電話は途切れてしまった。

「高屋副社長!!高屋さん!!高屋さん!!返事をして下さい!!」

「どうした?槇村先生」
杉村先生も慌てて駆け寄って来た。
俺は事情を説明して、もう一度高屋副社長のスマートフォンに電話かけたが出なかった。
三人の命に危機が迫っていたーーー・・・

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