相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
「遥!!」

ロビーに入った途端、私と同じ白衣姿の夫が大声で叫び、私の元に駆け寄って来る。

私の夫・槇村奏弥(マキムラソウヤ)は産科医。
東亜の産科産婦人科医局のエースであり、周産期母子センターのセンター長を務めていた。

実家は横浜でセレブな入院生活が満喫できるコトで、有名な産婦人科病院『槇村レディースクリック』を経営。彼は院長令息。

彼の上には四歳年上の兄が居て、元は東亜に居たけど、今は不妊治療を専門とする『槇村レディースクリニック東京』の院長を務めている。

彼も何れ、東亜を去り、実家の病院を継ぐ。

今はそのキャリアを積む為に日々東亜で医師として邁進していた。
「遥って…今日は日勤だったよな…」

「うん」
奏弥さんが私のシフトを把握しているなんて珍しい。
「じゃ六時から始まる『銀河戦隊ファイブレンジャー』録画して」

「何それ??」

「今日が初回なんだ…いいから…録画しておいてね…頼んだよ…じゃ」

「ちょっと!!?奏弥さん??」

彼は慌ててエレベーターホールに向かって走って行った。



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