相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~


彼のお腹の上に置いていた院内用のPHSが無情にも鳴り響く。

私が起こしても起きない奏弥さんはPHSの呼び出し音で目を覚ました。

「はい…槇村ですけど…」

――――高速で起きた多重事故で怪我をした妊婦が運ばれて来た…応援を頼みたい。出て来れるか?槇村


「分かりました…今直ぐに行きます…で・・・容体は…」

彼の眉間にシワを寄る。

「厳しいですね…でも、急いでいきますので、それまでお願いします!!」

奏弥さんは慌ててPHSを切った。

「奏弥さん…私も行った方がいい?」

「遥、帰って来てたのか…全然気づかなかった…いや、いいよ…」

「それよりも…これ…」
と私は腹ごしらえにと昆布おにぎりを渡す。
「サンキュー」



< 48 / 230 >

この作品をシェア

pagetop