相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
彼のお腹の上に置いていた院内用のPHSが無情にも鳴り響く。
私が起こしても起きない奏弥さんはPHSの呼び出し音で目を覚ました。
「はい…槇村ですけど…」
――――高速で起きた多重事故で怪我をした妊婦が運ばれて来た…応援を頼みたい。出て来れるか?槇村
「分かりました…今直ぐに行きます…で・・・容体は…」
彼の眉間にシワを寄る。
「厳しいですね…でも、急いでいきますので、それまでお願いします!!」
奏弥さんは慌ててPHSを切った。
「奏弥さん…私も行った方がいい?」
「遥、帰って来てたのか…全然気づかなかった…いや、いいよ…」
「それよりも…これ…」
と私は腹ごしらえにと昆布おにぎりを渡す。
「サンキュー」