相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~

忙しい合間を縫い、私達は横浜の奏弥さんの実家に訪れた。

一週間前に奏弥さんは三十一歳の誕生日を迎えた。
そして、今日は京弥さん、奏弥さんの母・槇村響(マキムラヒビキ)さんの三十一回忌。

この日の前後は、絶対に何があっても家族で集まる日を作り、皆で集まっていた。
京弥さんに続き
「来てたのか…奏弥」
穏やかな物腰と優しい笑顔でお義父さん・槇村光(マキムラヒカル)さんも出て来て、私達を迎えた。
「ただいま・・・父さん…」

「…遥さんも東京からご苦労様」

「いえ…」

京弥さんに似た整った顔立ち。
高木先生の父親とは同い年らしい。
『槇村レディースクリニック』の院長を務め、今も現場でお産に立ち会っていた。

リビングに行くと由夢が生まれたての赤ちゃんを抱っこして待って居た。

「この子が楓(カエデ)ちゃんね…可愛い…」

「抱っこする?遥」

「うん、でも・・・まずは手の消毒をしないとね…」

< 65 / 230 >

この作品をシェア

pagetop