相思相愛マリアージュ(前)~君さえいればそれでいい、二人に家族計画は不要です~
私は十七歳の時に白血病を患い、抗ガン治療で生殖機能を失った。
子供の産めないカラダになった。

その当時、まだ生殖科が未発達の時代。
私のような病で生殖機能を失った人達が将来子供を授かれるようにと彼の父親の槇村光(マキムラヒカル)先生に勧められ、卵子凍結を行った。

私の卵子は東亜医科大に凍結されている。

でも、実際、凍結卵子で妊娠出産した人の数はまだ全国に数例しかない。その後、赤ちゃんが順調に育ったと言うデータも乏しい。

奏弥さんは最初から私のカラダを知った上で、交際を申し込み、結婚を申し込んで来た。

彼の屈託のない笑顔に何度励まされたコトか…

私のカラダを誰よりも理解し、愛してくれる人は彼しか居ない。

私はそう思っていた。

「愛してるよ…遥」

彼は運転席から身を乗り出して、私の唇を奪う。

「私も愛しています…奏弥さん」


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