敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
あかりには電話で、前野さんと別れたと伝えた。

『よかったあー。美玖にどう切り出そうか悩んでたんだよ』

あかりは心底安堵した様子で、よかったよかったと繰り返す。前野さんの本性を知り、なんとかして私を彼から引き離さなければいけないと心を砕いてくれていたらしかった。

あかりと前野さんの会話の内容も、彼からからすべて聞いたと告げると、あかりは辛辣な言葉が止まらなくなる。

『は? 前野さんそれ、どういうつもりで美玖に話したの? 八つ当たり? 意味わかんない。そもそも前野さん、美玖を利用しようとしただけだったら、別に美玖と付き合わなくてもよかったよね? 結局は美玖と私のどっちにも手を出したかったんでしょ。友だちの彼氏だって知っているのに、私が前野さんになびくと思ってるところが異常なのよ。普通の神経してたらありえないってわかるはずよね』

「うん……」

少し言葉はきついけれど、あかりの言う通りだ。

私だって友だちの彼氏とどうにかなろうなんて思わない。

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