敏腕CEOは執愛で契約妻の初めてを暴きたい
『すごい、漫画みたいな展開! 美玖、おめでとう!』

事の経緯を話すと、あかりは諸手を挙げて祝福してくれた。

もっと驚くかと思っていたから、私のほうが少し戸惑う。

「ほんと仁くん、いきなりで」

『ううん、ベストすぎるタイミングだよ。さすが敏腕社長だね!』

「え、そう?」

『そうだよ。でも結婚するって決めたなら、仁さんだけに任せるんじゃなくて、美玖も彼を好きになる努力をしなきゃね』

とっさになにも返せずにいると、婚約者がいるあかりは『お互い、幸せになろうね』と付け加えた。

それから他愛もない話をして、通話を終える。

――仁くんを好きになる努力、かあ。

あかりのその言葉が頭の中をぐるぐる回っていた。

考えたこともなかったが、たしかに仁くんに強引に結婚を取りつけられたとはいえ、私も受け身でいるだけではいけないだろう。こちらからの歩み寄りも必要だ。たとえ友情結婚でもうまくいくほうがいいに決まっている。

――よし、私も努力しよう。

私はそうひそかに心に誓った。


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