年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

「今日はなかなかハードだったわね。みんなあと少し頑張りましょうね」

各部屋を見回っていた女将さんがやってきて、ねぎらいの言葉をかけていく。インカムからもどこの部屋が終了しただの、どこの部屋に応援がほしいだのが聞こえてきて、まだまだ仕事は続いていることがわかる。

片付けもまた結構な重労働だ。特にお座敷だと何度も中腰しになって器を運ばなければいけない。

慣れない私は要領を得ておらずぎこちなく動くのに対して、愛莉ちゃん始め他のスタッフさんたちの手際は見るからにプロだ。

接客業、特に老舗旅館で働くスタッフさんたちはもっと華やかな職業だと思っていた。

それがこんなにも体力仕事で裏方の作業が多かったなんて。

「なぎささん、葵の間にヘルプがほしいそうです。ここは私がやっておくので行ってもらえますか?」

「ええ、いいけど、でもここもまだまだ片付いてないけど大丈夫?」

「大丈夫ですよ。慣れてるのでお任せください。葵の間は、突き当たりのお部屋です」

「わかりました」

片付けもそこそこに、愛莉ちゃんの指示通り部屋を出た。もしかしたら手際の悪い私が抜けた方が効率が上がるのかもしれない。

「はあ~、何だかなぁ」

できない自分に悔やみながらも最後までやり通すしか道はない。落ち込みそうになりそうな気持ちを奮い立たせて、葵の間の扉を開けた。
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