年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
「なぎは変わらないね」
私の目の前に来た潤くんはやはり以前より背が高くなっていて少し見上げるかたちになる。
「いつの間にか背も伸びて何だかかっこよくなったねぇ」
久しぶりに会う田舎のおばあちゃんみたいな口調になってしまい、きっと潤くんもそう思ったのだろう、目を見開いてキョトンとした。
「……なぎは、綺麗になった」
「ふふ。ありがと」
綺麗だなんて、お世辞でも嬉しい。
潤くんはいつの間にか女子を喜ばせるお世辞まで言えるようになったのかと感慨深くなった。“なぎちゃん”と呼んでくれていた小学生の頃が懐かしいくらいだ。
「どこ行く予定だった?」
「ん、とりあえず清水寺かなぁ。バスがよくわからなくてさ、案内してよ」
「……俺もバスはよくわからないな」
「えっ?!」
嘘でしょ、せっかく潤くん役立つと思ったのに。まったく、期待外れだよ。
「ガイドブック持ってる?ちょっと見せて」
「え、ああ、うん」
ガイドブックを手渡すと、潤くんはさらさらっと目を通す。その視線が真面目すぎて思わず固唾を飲んで見守ってしまった。
「ん、よし、行こう。ここから一本で行けるから」
「え、あ、うん」
理解したと言わんばかりの潤くんについてバス停まで歩く。急に頼もしく見えてしまったことに驚きを隠せないし、先ほどの“期待外れ”だなんて思ってしまった自分を反省だ。