年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
和室へ案内されるとすぐにご両親がやってきた。
明るく品の良いグレー地に銀色の糸で模様が施された着物を着て凛としているのが富田屋の女将で潤くんのお母さん。そして、カッターシャツにネクタイ、その上からシワのない作務衣を羽織っているのが潤くんのお父さんだ。
「中途半端な時間にごめんなさいね」
潤くんのお母さんの綺麗に口紅を引いた口が滑らかに動く。さすが女将さんをしているだけのことはあり、話し方も所作も上品で隙がない。
「いえ、お忙しいところお時間をいただきありがとうございます」
深々と頭を下げると、お母さんはふふふとこれまた上品に笑いながら私たちに座るよう促した。ほのかに香る畳の匂いが、落ち着きと緊張の相反する感情を同時にもたらす。
「堅苦しい挨拶はいらないわ。まさか潤がなぎさちゃんとお付き合いしてるなんてびっくりよねぇ。今日はゆっくりしていってね」
「ありがとうございます」
今日はご両親に挨拶をすることが一番の目的だが、出来上がったばかりだという潤くんプロデュースの特別室に招待されている。さすがに気が引けて遠慮したけれど、潤くんはもとよりご両親も快諾してくださったのでお言葉に甘えて誰よりも早く宿泊することになっている。