年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
反対側の和室からは、剪定された木々が緩やかに広がる庭が移りゆく空と相まって色とりどりの景色を楽しませてくれる。眺めていると時間を忘れてしまいそうなほどだ。
「なぎ、夕食の準備が整ったよ」
「あ、うん。ありがとう」
声をかけられふと現実に戻る。現実世界を忘れるほどに引き込まれてしまうこの空間は、特別であたたかい。そんな客室を生み出した潤くんはやっぱりすごい。
いつの間にかテーブルの上には富田屋自慢の料理の数々が所狭しと準備されている。一皿一皿が芸術のように美しく、目に映るすべてにときめきを覚えて感嘆のため息が出た。
「すごいっ。豪華っ。おしゃれっ」
「俺はなぎの笑顔が見れただけでお腹いっぱい」
「食べる前からお腹いっぱいだなんて、料理長が泣くよ。どれから食べたらいいかなぁ?迷っちゃうね」
「まずは乾杯をしようか」
据えられた食前酒を手に取ろうとしたときだ。丁寧に磨かれたグラスの輝きにも劣らないほどの輝きが目に飛び込んできて、思わず瞬きをする。
「え、これって……」