Tear Flowes〜We are losers〜

「ここに飾られている絵、全部有名な画家に特別に描いてもらったやつだな。一枚何億もの価値があるぞ」

フリージアが廊下に飾られている絵を見て呟き、エヴァンたちが驚く。フィオナは無表情のまま、フリージアが見ていた絵を見つめる。そこには、東洋人の女性が描かれていた。女性は東洋の島国の伝統衣装を着ており、フィオナの目には一瞬シオンに重なって見えた。

「社長室はここね」

レティシアが立派なドアを指差す。このドアの向こうはきっと違う空気が広がっているのだろう。フィオナ以外、緊張を見せる。

モモがノックをすると、ドアが開いて眼鏡をかけた男性が顔を出す。最初は警戒を見せたものの、サルビアが警察手帳を見せると「お待ちしていました」とドアを開けてくれた。彼はウェンディの秘書らしい。

「あまり時間が取れず、ご足労いただき、ありがとうございます」

ウェンディがペコリと頭を下げ、フィオナたちも同じように頭を下げる。そして軽く自己紹介をした後、サルビアが質問をした。黒いバラに心当たりがあるか、爆弾を仕掛けそうな人物はいるか、質問をしてみたもののウェンディは全く心当たりがないようで首を横に振っている。