君の言葉で話したい。
7話 思い
「今まで興味も無かったくせに、
いきなり中国語の講義取ろうとしたり、
広東語の本買ったり。

それってさ、
告白してきたっていう、
あの男のため?」
「そうじゃない。」
「でも時期が一致しすぎてるんだよな。
鈴がこういう行動したの、
あの日以降だろ。」

さすがに関係ないって言ったって、
無理があるよと溜息を漏らす。
そういうつもりがあったわけじゃない。
鈴自身にも、
自分がこんな行動を起こしたのか、
理由ははっきりとしていなかった。

「何、その男のこと好きなの?
あれだけ話し合ったのに、
まだ連絡取ってたの?
浮気?」
「連絡は取ってないし、浮気もしてない。」
「じゃあさっき、女の子含めて、
3人で会ってたのは何?
ちょっと、後をつけてみたら、
こんな本、
買ってるしさ。」

尾行されていたのだ。
鉢合わせたのは、
偶然では無かった。

鈴は急に蒼太のことが、
恐ろしくなった。

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