君の言葉で話したい。
「そんなに見ないでよ。」
いたたまれなくなって、
両手で顔を覆う。

雨泽は悪戯っぽく笑うと、
もっとよく顔を見せてください、と、
やさしく鈴の手を解いた。
「相原さんの顔を、よく見たいです。」
そんなことを言われても、
困ってしまう。
「恥ずかしいから、見ないで。」
「ずっとこうして、相原さんの顔を、
眺めたかったですよ。
やっと叶いました。」
雨泽は心底幸福そうな表情をした。
鈴はなるべく雨泽の方を、
見ないようにして、
立ち上がる。
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