君の言葉で話したい。
13話 電話
このボタンを押せば、
彼に繋がるはずだ。
どきどきと無性に胸が高鳴って、
緊張した。

「…喂?」
彼の低い声が聴こえて、
思わず飛び上がりそうになる。
部屋の中を意味もなく、
ぐるぐると歩き回った。

「あの、相原ですけど…。」
空気が抜けたような、
間抜けな声が出た。

「相原さん?」
「うん、そう…。」
携帯越しに騒がしい音が聞こえた。
何か大きなものが落ちたような音が、
どすんとしてから、
彼が声にならない叫びを上げる。

「だ、大丈夫?」
「少し、落ちただけです。」
どうやら動揺して、
ベッドから転がり落ちてしまったらしい。
怪我はないようで、胸を撫で下ろす。
 
「少し、会えないかな。」
言ってからはっとする。
こんな唐突に言われたって、
迷惑なだけだろう。

空いてる日ある?
私はいつでもいいんだけど、と、
ぼそぼそ頼りなげに、
付け加えた。

「今すぐ行きます!どこに行くべきですか?」
雨泽の落ち着かないドタバタとした、
慌てっぷりがわかって、
思わず笑みが漏れた。

「じゃあ、この間の公園で。
1時間後に。待ってるから。」
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