君の言葉で話したい。
14話 片言
夕焼けをぼんやり眺めていると、
まもなく雨泽が現れた。
「相原さん。お待たせします。」
「ううん、急に呼び出してごめん。」

何を言うまでもなく、
2人並んで石段に腰掛ける。
どちらともなく、
口を開いた。

「あの…!」
雨泽と鈴の声が重なる。
お互いに譲り合ったが、
次に口を開いたのは鈴だった。

「この間は、逃げてごめんなさい。」
雨泽は驚いたように、鈴を見た。
この間の、つづき、してもいい?
尋ねると相槌が返ってくる。
雨泽は噛み締めるように、
ゆっくりと頷いた。
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