君の言葉で話したい。
雨泽も苦い顔をする。
「おれのせいで、嫌な思いをして、
ごめんなさい。」
俯きがちに弱々しく言葉を零す。
鈴はかぶりを振った。
「今日はそんなことを、
言いにきたんじゃないよ、
宗さん。」
雨泽の手を取る。
刹那、雨泽の動揺が指先から伝わった。
身体が緊張しているのがわかる。
鈴にもそれがうつりそうだった。

「ンゴー ジョン イ ネイ。」
緊張が最高潮に達した時、
鈴は震える声でそう唱えた。

胸がきゅーっと締め付けられる心地がした。
おそるおそる彼の表情を、
伺うと、わけがわからないようで、
きょとんとしている。

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