俺がお前を夢の舞台へ
「蒼空の力が必要なんだよ…。せめて辞めた理由だけでも教えてよ…っ」


理由が分かれば何かできるかもしれない。


蒼空の力になれたら、蒼空が戻ってきてくれるかもしれない。


「…それ以上何も言うな」


苦しそうに顔を歪め、絞り出すように漏れてきた言葉。


何も聞きたくないというように首を振る。


「蒼空…?」


突然、蒼空の呼吸が荒くなってくる。


「蒼空!」


胸を抑えてその場にうずくまる。


「ねぇ蒼空!?」

「おい蒼空!!」


苦悶の表情を浮かべながらのたうち回る蒼空。


「きゅ…救急車…っ!勇翔…っ!!救急車呼んで…っ!!」


蒼空…っ!!


しっかりして…っ。


どうして…?


こんな苦しみ方、おかしいよ…っ。


「蒼空──っ!!」


蒼空の頬に私の涙が落ちた。


けれど、蒼空はピクリとも動かなかった─。
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