俺がお前を夢の舞台へ

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指の震えが止まらない。


けたたましいサイレンが小さくなっていく。


赤いランプが点滅する白い箱が遠ざかっていく。


無力だった。
 

何もできなかった。


「彩絢…」


茉優が背中をさすってくれるけど、なんの気休めにもならなかった。


茉優はすぐに先生を呼びに行ってくれた。


勇翔は救急車を呼んで状況を説明してくれた。


私は…何もできなかった。


意識を失った蒼空の前で泣くことしかできなかった。


「…蒼空は何の病気なの」


あんなの、おかしい。


蒼空が野球を辞めた理由が見えた気がした。


「勇翔は知ってるんでしょ」


蒼空が突然苦しみだしたのに、驚いた様子はなかった。


勇翔は知ってたんだ。
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