俺がお前を夢の舞台へ
タローが2塁ベースを蹴る。


ボールがライトからセカンドへ渡る。


セカンドがサードへ投げる―。


「間に合って…!」


タローが頭からベースへ飛び込む。


その指先がベースに触れるのと、サードがタッチするのがどっちが速かったか…。


ここからだとほぼ同時に見えた。


どっち…?


「セーーフ!」 


審判の腕が左右に広がった。


「っしゃぁ!!」


「よく走った!!ナイスラン!!」


「尚輝続けー!!」


「いい流れ来てんぞー!!!」


技術では負けていても、橘には絆がある。


声で背中を押し、流れさえも引き寄せることができると思ってる。


尚輝くんは初球から振りにいかず、冷静に球を見ている。


2ボール2ストライクの平行カウント。
< 422 / 434 >

この作品をシェア

pagetop