俺がお前を夢の舞台へ

コンビニ

勇翔がグラウンドに現れた。


そして、わざわざ練習中の蒼空に声をかけてまで何かを話していた。


いい前兆なんだと思いたい。


明日、もう一度野球部に誘おう。


前までの勇翔なら、グラウンドに来ることすらなかった。


今ならいけるかもしれない。


そう決意を胸に秘め、今日の疲れを癒すべくお風呂に向かったとき。


「彩絢ー!」


キッチンからお母さんに呼ばれた。


「何ー?」


バスタオルや部屋着を用意しながら反応すると、パタパタと近づいてくる足音がする。


「明日の朝ごはん買ってきてくれない?おにぎりでもパンでもいいから。明日作る時間ないのよ」


問答無用で押しつけられるお金とエコバッグ。


「もう10時だよ?お父さんに頼んでよ」


夜遅くに娘をお使いに行かせるなんて、心配じゃないのかな。
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