鵠ノ夜［中］

◇ そろそろ、答え合わせを

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『お嬢、俺の声聞こえてる～？』



オウルの元へ行き、約束通り報酬と引き換えに書面をもらってきた。

「これは特別におまけ」と渡された大量の写真は、わたしを手助けする莫大な量の証拠。……これだから、情報はオウルから聞くに限る。



「ええ、ばっちりよ。

彼女たちが来る前に、録音ボタンを押すのを忘れないで。はとりも、聞こえてるかしら？」



『ああ、問題ない』



そしてその証拠を、突きつける。

雪深に女の子たちと距離を詰めてもらったおかげで、呼び出すのはひどく簡単だった。……やはり、わかりやすく女の子たちと関係を持つ雪深に任せたのは正解だったと思う。



しかしながら、女の子たちの横の繋がりがないとも限らない。

少しずつ呼び出せば情報共有されて逃がしてしまうことを考えた末に、はとりにも別の場所へ女の子を呼び出してもらった。



雪深には、4階の空き教室に。

はとりには、2階の空き教室に。




ふたりと通話を繋いでいるわたしは、防音であることから特に周りを気にしなくてもいい音楽室で待機。

あまり無茶はできないが、御陵の用事だと伝えれば深い理由も聞かずに鍵を貸してもらえるのは有難い。──指定時刻の16時半まで、あと4分。



「無理に聞き出そうとしなくて大丈夫よ。

ただ話を聞いて、探れそうなら探って。最後に証拠を見せて、深堀できるならそうしたいわね」



ウチの高校でリストアップされたのは全部で4人。

そのうちふたりが1年生、しかもふたりが同じクラスであることも考えると、繋がりはありそうだ。……あとは2年生と3年生にひとりずつ。



先輩たちは、また別の日に呼び出して話を聞く。

兎にも角にも、今回が極めて肝心なのだけれど。



「もうそろそろね。

通話はそのまま、繋がってることを悟られないようにイヤホンも外してから、録音開始して」



ふたりに指示を出すと、了解の返事のあとに、わずかなノイズ。

それから間もなく、どちらかの電話越しに、空き教室の扉が開いた音がした。



『聖くん。……話ってなぁに？』