隣の不器用王子のご飯係はじめました



でも、残念ながらというか、本当にまだ付き合ったって実感できるようなことしてないんだよね。

一緒に帰ったりはしたけど、手も繋いでないし。


この旅行中もたぶん遠坂くんとしゃべる時間はないだろうな。クラス違うし。



そんな風に一人考え事をしながら部屋に向かっていると、私に声を掛けてくる人たちがいた。



「小野山さん、ちょっといいかしら」



十人ぐらいの女子たち。

彼女たちはクラスもばらばらで、顔は知ってるという人もいれば、ほとんど見たこともないぐらい関わりのない人もいた。


その中でリーダー格の女子生徒が、険しい表情で腕を組んで言う。



「ちょっと話したいことがあるんだけど」



これは……。

脳裏に蘇るのは、二学期初日の出来事。

遠坂くんのことを好きな女子たちが、花火大会の時に私が遠坂くんと二人でいる写真を持ってきつく問い詰めてきたのだ。


あの時にいた人は一人もいないみたいだけど……。



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