隣の不器用王子のご飯係はじめました



お昼ご飯のときも由梨と目を合わせることができず、足の経過観察のために保健室に行くと嘘をついて由梨の前から逃げていた。もう足は治ったし、そろそろこの手は使えない。


何故そうやって親友のことを避けるような真似をしているのか。理由は簡単。



……だって、どんな顔をしたら良いのかわからないから。

私は由梨の気持ちを知っているのにも関わらず、遠坂くんのことを好きになってしまったなんて、絶対に知られたくない。

だけど私は割と顔に出やすい方だし、由梨は勘が鋭いところがあるから、そのうち絶対にバレる。


それなら遠坂くんへの気持ちを消そうとも思ったけど、一度自覚してしまうとそう簡単に消えてくれるものじゃない。


だから必然的に、どうにかして由梨としばらく距離を取ろうという考えに至ってしまったわけだ。

これが本気で辛い。



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