青空

君に向かって 幸矢

「下コー、シュートができませーん、、」
幸矢「よし!じゃあ、今から50回するぞー」
「えーw」
「てか、下コーは何でサッカーしてるのー?」
幸矢「俺がしてるのを見ててくれてる人がいるから!」
「えー、どこどこー?」
幸矢「い、いないからwじゃなくて早くしないと帰れないぞー!」

あれから15年。俺も32になった。
高2の冬からは先輩の推薦、タメのやつ、先生に認められて副リーダーになった

あの夏に辞めると思った俺が戻ってきて
努力を積み重ねたから。

そして高校最後の試合は勝った。

大学でもサッカーをして
エンジニアで働きながら休日の1日は
少年サッカーのコーチをしている。

子供達からは下村コーチだから
略して下コーって呼ばれてる

「あー、ママがきたー!」
「はじめまして!昨日からお世話になっている藤本です。先生のお名前は?」

あれー?誰かに似ているな、、

幸矢「下村です。まだ、コーチはじめて3年くらいだけど、、」
「し、下村、、」幸矢「どうされました?」
「ママー?」
「ちょっと向こうで遊んでてー!」
「川越日向って知ってます?」
幸矢「は、はい、、。高校の同級生で2年の途中までお付き合いしていました。」
「私、川越日向の妹で千恵です。以前、うちでお会いしましたよね?」
幸矢「あ、、」
千恵「突然、連絡がつかなくなり申し訳ないです」
幸矢「とんでもないです。あの、当時住まれていたおうちは、、?」
千恵「あの時はほぼ、お姉ちゃんに付きっきりでいませんでした。数年後に祖母が亡くなりその後は私は結婚をし、兄は別で1人で住んでます。」
幸矢「日向のお墓は、、」
千恵「親戚のおうちにあります。もしよかったら今度、お時間がある時にいらしてください。」

千恵ちゃんを見た時、見覚えがあったけど
まさかこんな形で再会できるとは、、

数日後に日向の親戚のおうちにおじゃました
仏壇に日向の写真があった

命日は7月5日。
俺がまだ、日向からの手紙に
気づいてなく落ち込んでいる時。

日向、くるの遅くなってごめん。
いい妹ちゃんでよかったね。
いつも俺達を見守ってくれてありがとう。

「下コー、泣いてるー?」
千恵「静かに!お姉ちゃん、入院中はずっと下村さんにもらったブレスレットを見たり写真を見たりしていました。」

次の休日
今日は練習日

「下コー!この前、楽しかったー!泣いたもんねー!」
「えー、下コー、泣いたのー?いつも泣くな!そんな時は上向け!って言うくせに!」
幸矢「うっせー!今日も50回にするぜー?」
「えー!鬼ー!」
幸矢「さー、上に向かって、、!」

子供達に上向け!って言うくせに!って
言われてハッとした。
そうだな。お参りに行って内心、
昔のダメな俺に戻ってた。

でも、、。

日向の方に向けてボールを蹴った。
今までで1番強く蹴れた気がした。

もう大丈夫。
日向がいる青空だから。
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