片翼を君にあげる②

「ーー……っ、レ……ノア?」

驚き目を疑った。
画面に表示されていた名前はレノアーノ。と、いう事は今自分に電話を掛けてきているのはレノアだという事になる。
サリウス王子との交渉の後、ヴィンセント様の有り難い心遣いで俺とレノアは話す事ができ、こうしてポケ電の番号を交換する事も許された。メッセージのやり取りはまだ数回だがしている。

しかし、電話が掛かってくるのは今日が初めてだ。
こんな時に彼女と電話で話すのはどうかと躊躇したが、もしかしたら何か余程の急用かと思った俺は電話に出る事にした。

「っ……も、もしもし?」

『!……あ!出た!ツバサさんですかっ?!』

「っ?……あ、え?
……あ、はい。ツバサですけど……、……」

……。
えっ?どちら様ですかっ……?!

聞いた事のない声に、俺は戸惑った。
まさかのレノアからの電話かと思えば、電話相手はまさかの子供。嬉しそうに声を弾ませた男の子の声だ。

これは俺がさっき見た画面表示が見間違いで、この男の子が間違って俺に掛けてきたのかと思った。
でも、男の子は俺の名前を知ってる。何故だ?と思いつつ、どう話そうか悩んでいると、男の子は元気な声で再び話し出した。

『やっとお話出来ましたね!
はじめまして、僕レオって言います』

「……レオ?」

『はいっ!レオ・アッシュトゥーナと言います!』

「レオ・アッシュ、トゥーナ……」

『いつも姉のレノアーノがお世話になっております!』

「……、……」

男の子の丁寧な自己紹介に、俺はフリーズした。

ーーーいつも"姉のレノアーノ"がお世話になっております!ーーー

姉の、レノアーノ?
この男の子の姉が、レノアーノ?

「……。
……っ?!……お、弟っ?」

『?……はい?』

「っえ、……き、君は、レノア……ーノ様の、弟君でお間違いないでしょうか?」

『そうですよ〜!』

っーー……まさかの弟からの電話っ?!

一瞬、ポケ電を落としそうになった。
受話器の向こうの緩い無邪気に声とは正反対に、すっかり動揺した俺は何故か向こうには見えていないのに背筋を正し、自分が今変な格好ではないか気になった。
< 146 / 262 >

この作品をシェア

pagetop