僕が愛した歌姫
「だけど失敗した。あの花は体内で人よりも強く育ってしまい、開花してしまった」


『かいかまで、時間がない……』


院内の大きな花。


あ……あ……。


「あの花はまさか……」


クウナちゃんだったのか?


「リナの花も、もうすぐ咲く」


「そんな……」


そんなバカな。


そんな話しがあってたまるか。


人の中で咲く花だって?


「だけど、それでいいんだ。あの2人は、本来もっと早くに死んでいたんだから」


霧夜さんは静かにそう言った。
< 122 / 187 >

この作品をシェア

pagetop