僕が愛した歌姫
「見ろってば、おい!! 『消えた歌姫がキス!?』だってよ!!」


「だから、俺はリナと――!!」


振り返りながら言うと目の前に週刊誌を突き出されていて、俺は口をつぐんだ。


『消えた歌姫がキス!?』


そんな大きな文字が目に飛び込んでくる。


「なんだ、これ?」


俺はヒロシの手からその雑誌を奪い取り、記事に見入った。


小さな文字の羅列の横には、薄暗い廊下に男女2人が立っている写真が乗っている。


これ……。


昨日の……?


2人の間にあるフェンス。


ちょうど唇が重なり合っている瞬間だ。
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