僕が愛した歌姫
周りが暗くて2人の横顔はハッキリと見えないが――。


自分自身を見間違う事はないハズだ。


「それ本物だったらすげぇのになぁ」


ヒロが横から週刊誌を覗き込み、俺の反応を楽しむように言う。


まさか、ヒロシにこれが俺だとバレた――?


と、一瞬思ったけれどその考えはすぐに打ち消された。


ヒロシはそんな事気づくヤツじゃない。


ただ、俺の好きなリナのキスシーンが映っているから、どんな反応を見せるか興味を持って持ってきただけだろう。


「つくりもんに決まってるだろ」


俺はそう言って、雑誌をベッドの上に投げ出した。


記事にも少し目を通したけれど、写真の信憑性を疑うような内容だった。


内心、それを読んでホッとした。
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