互いに堕ちるその先に
何分そうしていたんだろう。
いや。
本当に数秒だったかもしれない。
あまりにも綺麗で直ぐに私から目を逸らすことが出来なかった。
彼はカウンターの一番奥に腰をかけた。
再びフロアは
「ほんとイケメン、一晩だけでも相手してくれないかなぁ〜。」
「私声掛けて来ようかな。」
「俺初めて見た。」
「やっぱ、かっこいいな。神崎組の若頭」
など皆口々に騒ぎ出す。
さっきの静まりが嘘のように騒がしくなった。