玉響なる風は鳴る
無表情のまま葉月に目を移し、真冬は言う。しかし、風音は静かに首を横に振った。

「……そう。オレは、どうなっても知らないからね」

そう言って、真冬は扇子を開く。そして、悪霊を見据えた。

風音も扇子を開いて風を起こすと、悪霊を浄化していく。風音と真冬は、目の前に現れた悪霊を同時に蹴り飛ばした。

(……凄い……息ピッタリだ……)

葉月は肩にかけていた通学用カバンを地面に降ろし、カバンのポケットから扇子を取り出す。

「……僕は、回復なら出来る」

そう言って、葉月は近付いてきた悪霊を閉じた扇子で叩いて除霊した。葉月の扇子には、除霊効果があるのだ。

「……」

真冬は葉月の動きを見ながら、無言で悪霊を蹴ったり殴ったりしていく。

「…………そろそろ良いかな。『氷結』」

真冬がそう言うと、先程まで真冬が蹴ったり殴ったりした悪霊が氷に包まれた。

「……っ!」

葉月は、凍った悪霊を見て驚く。それを見た風音は「真冬が触れた悪霊を凍らせる……これが、真冬の力だよ」と葉月に、簡単に真冬の能力を説明した。

「残りの悪霊の浄化は任せて!」

風音が扇子を振り上げると風が吹き、凍った悪霊以外の悪霊は塵となって消えていく。
< 11 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop