.*・゚ .゚・*.赤い瞳.*・゚ .゚・*.
降りると駅のホームの休憩所に入り2人きりの空間になり彼が買ってくれた缶のオレンジジュースを飲む


横の彼はアイスコーヒーを飲んでいた

何となくこの沈黙が嫌じゃないと感じる

どちらも話始めなくて、キリがないと思い私から言葉を発し用とした時に、彼が口を開く

「…れた」

『…え?』

聞き間違いだろうか…

「冗談じゃないよ…今日朱里にフラれたンだよね俺」

何も言葉が出ない

なんて励ましたらいいのか分からない

『この世で一番嫌いな奴と体の関係を持った』

彼は驚いた顔をする

「は?…大丈夫かよ…それ」

『だから、家が無くなったからこれを機に逃げようかなって…』

「その話は俺にしない方がいいよ…」

『?…どうして?』

「どうしても…」

その後も2人で色々話し込んだ…

一言で言うと気が合った

チャラいだけど最初は勘違いしていたけれど時々黒くなるその青い瞳に闇を感じるのは気のせいだろうか?

アルバイトの探し方など色々教えてくれた

今まで貯めてきたお金はあるけれどなるべく使いたくない

とりあえずホテルに泊まるかネカフェ…悩んだ末にネカフェのネットで色々調べて間際らそうと入る


一応普通のワンピースを着てきたから高校生だとは思われてないはず


部屋の番号を貰うと何故か男のロビーの店員さんが上から下まで私を舐めるように見る

気持ち悪いと思い早足でその場を去り自分の部屋の鍵の所まで着くと直ぐに鍵を閉める

色々あって疲れたから少しネットでアルバイト先と住んでみたいところとかを探していると30分くらいすぐに経ち、画面をずっとみていたからか急に眠気が襲ってくる

目を瞑って椅子の背もたれを後ろに倒して眠る体制に入り目を瞑る

『ヴゥ…』

息苦しいと思い目を開けると鍵を閉めていたはずなのに…

『イヤー!!!!誰か…!』

叫んだ瞬間に口元を押さえつけら男が馬乗りになる

手元にあったゴミ箱で思いっきり頭を叩くと荷物を持ち逃走する

昔から走ることは得意だから追いつかれないはず

でも走っていたら気づいたらここがどこかわからなくなっていた

はぁ…

普通にホテルに泊まればよかった

コンビニに入り、チョコなどお菓子を買ってイートスペースで座って食べている

目の前の駐車場に見覚えのある黒い車が止まる

こっち側は向こうが暗くて見えない…烏

そう思ったのに出てきたのはあの男…澪だった

逃げ場なんてなくてすぐにコンビニを出て走り出そうとしてもあの男には追いつかれてしまう

コンビニから出ると澪と目が合う

「おい、調子乗んな」

そのどきつい声に身体が震える

男に入れられる前に、無理やり足を動かし車に乗るとミラー越しに目が合った烏にニヤッとバカにしたような表情を見せる

「今から親父の呼び出しでお前も行かなくてはならならい」


車が黒瀬の本家である本邸に着くと澪の後ろを着いていく

門を通ると大勢の人達が頭を下げる

この場所は昔から何も変わっていない

中に入ると既に澪の父親である黒瀬紺が黒いオーラを放ちながら私達に目を向ける

「サナさん君は一体何をしているんだ」

怒りで血が上っているのか血管が出ている

今までの事隠すことなんてできない

さっきまでの事は全部バレている

そう言い放つと横の戸から出てきた栞さんが出てきて隣に座り込む


「サナさんの指導役を栞に頼む」

「その必要はありません」

そう言い放つ澪…

逆らえるわけないのに…

ここでは誰も私を助ける人なんて澪…あなたも含めていないのだから

「見てわからんのか!躾がなっていない!栞連れて行け」

立ち上がり栞さんについて行く

前を進んでいた栞さんが後ろを振り向く

「サナさんったら、私の宝物の澪に反抗してるなんて…ダメよ?」

いつもの様に微笑んでいるように見えたが

栞さんも怒っている

でも仕方がない

栞さんは極度のブラコンで小さい頃から凄かったそれは今も健在だ

地下に着くと扉を閉められる

私と栞さんの他に短髪の大人しそうな女の子と巨体の男がいた

女の子は男と一緒に何か錠剤を飲み始める

交尾が始まるとわかり目を瞑る

女の子の悲鳴、喘ぎ声、色んな音が響き渡る

何も聞こえない…

何も聞きたくない…

そう自分自身に言い聞かせる

ビクッ…急に肩を触られ横を見ると笑顔の栞さんが耳元で囁く囁く

「これからよ」

その言葉に危機感をもち逃げようとするけれど壁に繋がれた鎖は全く外れそうにない

叫んでも誰も助けてなんてくれない…

そのまま彼女は出ていく

それからどのくらいが経ったかなんてわからなくなっていて

聞きたくなくても聞こえてくる声に秘部が疼く


それでも
目を瞑り耐え続けているとドアが開き俯いてる私に足音が近づいてくる

顔を上にあげると澪がいて差し伸ばされたを掴まずにいると抱き抱えられる

地下を出ると組長には睨みつけられた


睨むだけで済んだのは澪がいるから…

彼が私の味方をしているから

栞さんと同じで組長の弱みであり宝物が澪だとわかっている

2人とも彼が傷つくことが嫌なのだろう

そう言う人間味のあるところに少し安堵する


帰る家なんてなく澪のマンションの部屋に入る


今思えば跡取りを欲しいだけなのでは?

家の関わりを強くするために…

何を今まで自分を優先して考えてきたのか阿呆らしく思えてくる

汗だくの私をお風呂に連れて入らされると男は出ていった


男と交代して髪の毛を乾かしている間に覚悟を決める

男の大きな黒のTシャツ1枚しか着ていない

下着もどうせ面倒になるだけで代わりに着替えるものもないから着用していない

基本的に澪はシャワーだけしない日が多いと言うか私と一緒に入る時しかお風呂に浸からない

水の音が止まり上下黒色のスゥエット姿で出てくる

まだ髪の毛を乾かしてなくて私が座っているソファーの横に腰を下ろすとドライヤーを手に取り乾かそうとする男からドライヤーを奪うと隣のソファーから降りて男の膝の上に向き合う形で座る

驚いた顔をする男を無視して無言でドライヤーで乾かしてあげる

男は私に体を預け後ろに抱きしめるように手を回す

サラサラで細い髪質だから乾くのも早い

すぐに乾き終えるとドライヤーを置く

目が合うと微笑み唇の端にキスを落とすと

男はスイッチが入ったのか頭の後ろを押されキスを求められる

少しすると私を抱き上げるベットへ行くとTシャツを脱がされる

男も全部ぬぎすてると


裸になった私をベッドのど真ん中に押し倒すと上から下までジーッとみる

何度も裸は見られてるはずなのに、急に恥ずかしくなる

男が身体中に赤い花を咲かせると、避妊具をつけるその手を止める

「ここまでして、辞めるのは…」

そう言い放ち私の手を退けようとする手を握る

『違う…、もう…付けなくていいから』

そう口から零すと男の赤い瞳が大きく開く

男とひとつになって

その好意は朝まで終わることなく続いた

それから今日…婚約発表会の日が来るまで夜は避妊無しで抱かれ続けた

あそ横にいる男に甘いキスで起こされると抱き抱えられお風呂に入れられる

昨日は今日のために朝までは行為は求められなかったが寝たのは遅かった


今日の夕方から夜にかけてもう一度眠りにつく


目を覚ますと男に連れられ車に乗り、会場に着く前にドレスとメイクアップをされる

今日はロングの薄いピンクのドレスに小さなキラキラとした花が散りばめられていて

その上から白い透明のマントのようなものを羽織らされ

ハーフアップされた髪の毛には花が散りばめられる

スーツに身を包んだ澪に会うと嬉しそに微笑まれ「綺麗だ、皆お前に見惚れている…このまま閉じ込めておきたい」と言われて

冗談に聞こえなくて、狂気的な言葉に怖くなり、少し身を引く


でも、周りが夢中で見ているのは私ではなくこの男だ


整った顔にアップされた髪の毛長身の誰もが羨むスタイルに黒い高級感のあるスーツ


周りの女の人達は目がハートになっている

そんなことを考えていると澪から大きな手をさし伸ばされていて慣れないヒールを履く私を気を遣い支えてくれる


車に乗ると披露宴の会場に着く

少しして人が集まると組長が舞台袖から出てきて空気が重くなる


それまでガヤガヤしていた人達も一瞬で黙る

挨拶をし終えると今日の主役である私たちを呼ぶ

注目を浴びながらも澪に手を取られ前に進む


前に出るとまず私達が婚約しましたと再度発表すると拍手が巻き起こる

色んな感情の表情をした人達…

クラスの子も何んにんかいて知り合いも多いが友達でもない


私は終始黙ったまま男の言葉に頷き目が合うと微笑むただの人形の役

司会者が出てきて質問をしてるそれに答えればいいと言われたことが唯一喋ること

「高瀬 澪様…そして港 サナさんの婚約に再度拍手をお願い致します」

そう言うと喝采が起こり皆組長(澪の父親)の顔色を伺いながら彼が拍手を止めるまでし続ける


「まず、政略結婚と聞いておりますが、恋愛結婚とも噂されていますが美男美女の付き合いは一体どちらから?」

澪がマイクで話す前に私が話し出す
『私が彼に一目惚れしたんです。』

頬を少し赤らめて照れたようにでもはっきりと言い男と目を合わせないまま、腕に手を入れ自分の方に引き寄せる

その場の空気が軽くなり皆ヒューヒューと言ったり、悔しそうな顔をしたり、赤らめたり人それぞれの反応を見せる

この質問は前々からわかって居ないから私の中でのチャレンジだった

もし私が子供を妊娠して逃げるとなった時、男が振られたたとなると問題だけれど、私が捨てられたという形が1番なのだ

「凄い愛ですね…港…ではなくてもう黒瀬になるのですよね。申し訳ありません。もっと2人のことを知りたいのでここでは観客の中から質問とします。」

これが一番ドキドキする…どんな質問が来るのか全くもって分からないから


「ではそちらの赤いドレスを着た小さなお嬢さん」

そう言われると5歳くらいの女の子がマイクを持つ

子供は何を吹っ掛けてくるか、全く不明な生き物だから怖い


「どうやったら…サナ様みたいに綺麗になれて、澪様のような方と結婚できるのですか?」


予想外の質問に少し間ができる…


正直ここの答えなら綺麗なのは8割り遺伝

澪と結婚することになったのはただの奴隷契約なのに…

面白いことを聞く子供だ


『恋の魔法にかかったから綺麗になれました。そしたら王子様がみつけてくれます』


彼女に向かってそう微笑む

「ありがとうございました。サナ様飲みの質問になってしまいましたが質問はここまで、さぁ残りの時間は、皆様有意義なお時間をお過ごしくださいませ」


その後は色々な人達に挨拶をされ重要人物達飲みし終えると彼から腕を離して1人で控え室に向かおうとすると、澪に止められる

「一緒に行く…」

そう微笑まれるがその笑顔に反吐が出る

そう思った時、急に気分が悪くなり吐き気がしてその場にしゃがみこんでしまう


その場にいた人が近くに寄り心配してくれていたが…1人が「妊娠のつわりでは?」と言い放った言葉にまさかと思い顔を上げる

その私の反応を見て皆確信すると

それまで近くいなかったはずの栞さんが近づき私を立ち上げ耳元で囁く「さすが私の義妹ね」

澪は私を抱き上げると「失礼します」

と言い放つと控え室私を連れていく


控え室で横になると澪が愛おしそうに私のおでこにキスを落とす

「やっと俺のものに」

その言葉に面白くて微笑む

妊娠させたら自分のものになるという考え方にも反吐が出る

それでも微笑んであげるのは私のこれからの為

トントントン

栞さんが呼んだ高瀬組の主治医が来て私の脈を見る

「おめでとうございます。妊娠2ヶ月でございます」

生理が来ないとは思ってたけど…思っていたより早く事が進みそう

澪は私を抱きしめる

全然嬉しくもなんともないただ気分が悪くなる

でも嬉しい自分の自由に1歩踏み出せたから

それから学校は通わなくなり家で居るようになった

これまで私にきつく当って居た家族は良くやったと褒めてきた

早くこの子を産めば…

子供の為にとお腹が大きくなるに連れて澪から求められることはなくなった

その分のキスは多いけれど

結婚式は私の体調を考え婚約指揮後すぐに執り行われた

そして冬を超えて3月遂に出産した

辛い日々だったけれどこれからのことを考えると苦痛ともなんだか戦えた

赤ちゃんは男の子と女の子の2卵生の子供だった

産まれてからその愛おしさに触れようとしたが私の何かがそれを拒否する

今触れたらまた触れたくなるようで

高瀬組長からは男の子も女の子も欲しいと頼まれていたから1度で済ませられたことに安堵する

まだ足りないと言われたらどうしようか…

2ヶ月経つ頃には体調も改善し元通りまでとは行かないが、1人で動けるようになった

朱里とは会っては居ない

これから一人で生きていくために自分のため縁を切った

子供たちは私が世話をしなくていい使用人たちもいれば栞さん達が率先して何でもしてくれる

元の家に戻ったマンションでリュックに収まる荷物を背負うと今まで貯めてきたお金だけを半分のみ銀行で下ろす

もうこの銀行口座は使わないから

リュックの中にはお金のみが入っていて他には特にこれといったものは必要ない

そして私はアメリカへ逃亡した

マンションの人部屋を借りてここではあの頃から好きな小説を書き続けている

半年経ち描いた小説の作品が売れて小説家にもなった

元々お金には困っていないが…1人で生活する上では十分すぎる

念の為に貯めていたお金はまだ残しているが残りのお金はがんの治療に使っている

こっちに来てからがんが見つかった

今手術をすればすぐ治るものだと言われたがしなかった

アメリカの治療費は日本の治療費の倍で払えるものではなかったから


今は薬だけ処方しに行って一時的なもので対処している


自由な生活は私にとって新鮮だった

死ぬのは怖いけれど今が楽しい


そんな平和な日々が過ぎ3年がたった頃

今日は病院に行く日…少し憂鬱な気分になる

私の番になり呼ばれて先生の部屋に入り席に座る

「最近症状が悪くなったのでは?」

そう聞かれ

『はい』
と正直に答える


「今治療しなければもう手遅れになります。治療された方が…」

『治療はしません』

そこまで長く行きたいとも思ってないからこれでいいんだ

病気になったからと悪いことではない

そう言われたあと処方箋だけ貰って帰ろうとした時

後ろから腕を掴まれ振り向く

『澪…』

掴まれた腕を振りほどこうとするけれども離れそうにない

「お前の体調はわかっている…今からでも手術…」

『貴方に関係ないでしょ!ほっといてよ』


そう言捨てると昔の冷酷な視線ではなくて怒りの表情を見せ目の前に止めてあった車に無理やり乗せられる

ホテルに着くと一室に通されるそこには2人の可愛い女の子と男の子がいた

女の子は赤い瞳にピンクの髪

男の子は紫の瞳に金髪の髪

近づいてくる2人にその場から動けなくなる

横にいる澪が2人に近づき手を繋ぐと私に近づいてくる

「俺たちの子供だ…」

頭を抱え込んでその場にしゃがみこむ

『嫌!来ないで!私に子供なんて居ない』

頭になにか触れ顔を上にあげると小さい手が頭に触れる

振り払うことなんて出来ず訳の分からない感情になる

「サナ…治療だけはしろ…この子達のためでもある」


その言葉に何も返せない自分がいる

だから子供たちには会いたくなかった触れたくなかった

愛が芽生えて愛おしくて仕方なくなるから
らこの子達は私のものでは無い組の大切な宝

その後子供たちと別れて澪と2人きりになる

ソファにお互い向かいあわせで座っているけどお互い何も発さない

『治療は自分のお金でするから、言いたい事がそれだけなら子供たちと一緒に早く日本に帰って』

「お前は…俺を少しも愛していないのか」


変な質問をしてくる彼に疑問を覚える


愛?貴方に?

『前も言ったけど、あなたの顔を見るだけで反吐が出るの、』

「でも子供たちのために…」

『黒瀬の血が流れてるだけであの子達も将来的には貴方みたいになるの、ごめんだけど私の脳はお花畑じゃないから』

遺伝というものは舐められない…さっき会った二人の子供を見た瞬間わかった


その立ち振る舞い落ち着き全てが昔の彼にそっくりだった

まだ、4歳にもままならない子供が

だからもっと確信が持てる

「ならあいつらは用済みだな」

その言葉に耳を疑う

何を言って…

ソファーで足を組んでいる男はしよう人に預けていた子供たちを連れてくると近くに呼び付ける

男の子の首を片手で締め上げる

『嫌ッ…!何してるの!やめて!!』


そう言うと澪は男の子から手を離し地面に投げ捨てると後ろの女の子が駆けつけ背中をさする

自分の息子と娘にこの仕打ちをするこの男に不信感を抱く

他に愛人が出来てこの子達は必要なくなったのだろうか

あれだけ後継者を作ることを求められたというのに

『治療し終えたら、日本に戻るわ
それまで子供たちには手を出さないで』

そう言うと澪は私の髪をすくい上げ愛おしそうにキスを落とす

「永遠だけはここに置いていく、お前が面倒を見ろ」

男の子が私を見るその姿になぜか涙がこぼれそうになる

一緒に住むようになった男の子永遠は何でもこなせる賢い子だった

書類関係も私を連れていくだけで全てを自分でしていく

どんな教育を受けていたのかがよくわかった

料理もしてくれ掃除もして送り迎えだけ幼稚園にしてあげるだけの私

今日は病院で入院する日使用人を澪が置いていったから永遠が1人になることなんて無い


病院には永遠が毎日来てくれるが私は何も話さない

ただ2人とも本を読む


それが私たちの日常

今日は違った

コンコン…

音がして入ってくるいつも優しく微笑む可愛らしい男の子

いつも通りなら輝くような笑顔で私に近づいてくるのに


今日は少し暗い

明日が私の手術の日だからか

お母さんと呼んでくれるけれど、あまりピンとは来ない

「本当にお母さんはお父さんを1度も愛したことは無かったの?」

その言葉に少し驚く

なぜのんな事をこんなに小さい子が…

分かってしまったのかな…はぁ

『そんな頃もあったかもね』

そうそんな時もあった

これは昔の話…

父親に連れられて黒瀬の組の本家に挨拶しに行った日

澪に初めて出会った

兄たちは挨拶に行き私は一人中庭で興味もない庭園を眺めていた

その時後ろから現れたんだ

眩しくて輝くようなサラサラの髪の毛に燃えるように赤い浴衣姿の大人っぽい男の子に


話しかけられたら色々お話して優しくて好きになった

この一瞬で目を奪われた…その時に一目惚れをした

だから、婚約式の場で答えたものは嘘ではない

その優しが偽りなんて分からずに


兄殺しの男なんて愛せるはずがないのに

「お母さんは僕のことを嫌いじゃない?」

好きと聞くんじゃなくて、嫌いじゃないかを聞くのか…

なんて答えるのか正解かわからなくてただ頭を撫でてあげる

「お父さんがお母さんのそのお兄さんを殺さなかったら愛してた?…」

『ッ…!』

なんでそんな話をこんな子供が…

『出て行って!!!』

出ていかないで私を見る瞳から哀れ身の心が見えて近くにあった過敏を地面に叩きつける

「お母さん…」

『ならハッキリ教えてあげる。澪を愛したことなんてないわ。人殺しだもの。私の大切なものを奪ってそれでも耐えてきたの。貴方達も望まれる通り産んで差し出したわ。まだ何が必要だと言うの?もう何も私に求めないで!!』


落ち着くために目を閉じる

優しくしてはダメ…

次の日なのに手術を受ける前あんなに酷いことを言ったのに横には永遠の姿があった

ただ真剣な瞳で小さいその手で私ので握る

訳も分からず涙がこぼれる

そのまま私は麻酔により目瞑った

_____________

眩しくて目を開けると窓から明るい光が差し込む

主治医が私が起きたのを知り確認しに来る

「手術は成功致しました。」

『ありがとうございます。』

落ち着いてまた目を瞑ると入口の遠い方から小さな影が見えた

永遠…

遠くにいる彼に

手で招き入れる

顔は彼にそっくりだけれど…愛せるだろうか?

『人を殺したいと思う?』

首を横に振る

『じゃあ、澪を頼んだら殺せる?』

首を横に振る…

あぁよかった…

頭を撫でて上げるこれからどう変わるかなんて分からないけれど私よりこの子の方が大人だ

そして、半年後、永遠と一緒に日本に帰った

もし私が普通に学校を通っていたら大学3年生くらいかな?

そんなことを思いながら永遠に手を引かれながらあのマンションに戻った

玄関には澪と雫がいた

手を繋いでる私と永遠を見て雫が反対の手を繋いでくる

靴を脱ぎ入ると澪が近づいてきて私を強く抱きしめる

その背中が震えていて、でも手を回すことは無かった

雫と永遠は本家に住んでいて戻って行った

特に雫が黒瀬組長と栞さんに気に入られているらしい

役4年ぶりに帰ってきて日本一の大学に行きながら、若頭の仕事もこなしていたこの男は化け物でしかない

もう大学は卒業して若頭の仕事に集中していると聞いた

その時前には飾っていなかった玄関の写真に澪と子供たちが写っているのを見て少し寂しく思う

横には幸せそうな顔をしたウエティングドレス姿の私と澪も写っている

これは前から飾ってあったがあれからもずっとあったことに少し驚く


澪が私をジーッと見ていることに気づき、2人きりで気まづくなりながらもリビングに足を入れる

澪はソファーに座ると足を組む

昔と変わらない

私が横ではなく反対側のソファーに座ると沈黙が続くかと思いきや話し出す

『お前の為に組を辞めたいと思う』



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