今夜もあなたと月、見ます。


ーーーーー



「…響紀?」


……


「あー響紀ー?」


……


「コホン、響紀!」





「ん?おうどうした檜山」

「こっちのセリフだよ、どうしたんだよ!アッホみたいな顔してさぁ!道組総長が聞いて呆れるよ!」


とびきりいい夢から覚めたかのように、翌日の朝はなんだかふわふわしていた



間違えてキスしちゃった


いや間違えてないけど

だって無理でしょ、あの至近距離にいて何もしないなんて聖人みたいな男がいるか?


道組本部でだらける俺と呆れたように声を荒げる檜山



「ねえ何?なんなの?何があったの?」

「…んー」

「何がらみ?風組?西のやつら?」

「…んー」


「……まさか女?」

「…」

「は、まって、なんで黙るの?まじなの?え、まじなの!?」


檜山が目を輝かせる

うるせーなガキか


「あの子か!この前来てた子!あの超可愛い子!」

…そう、超可愛い子

「外国人?なんか色素薄いよね」

多分日本人だけど、そうだな

うん


晴は雪みたいな白い綺麗な肌と艶やかな黒い髪をしている

肩の下まで伸びたその髪を昨日は高くまとめていて可愛かった


目の色はなんだか淡くてずっと見てると不思議な気持ちになる

バランスの取れた鼻と小さな口、大きな目とたまに桃色に染まる頬


誰が見ても美人に分類されるとびきり綺麗な俺の想い人



そりゃ笑った顔や盗み見る横顔は綺麗だと思うけど別に外見に惚れたわけじゃない

…まあ、初めて会った日に月の光を受けた晴は怖いくらい綺麗だったけど


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