聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
「惚れられると面倒だから女性秘書は置かないと決めていたのに、ミイラ取りがミイラになったな」

 十弥は玲奈の胸をやわやわと揉みしだきながら、うなじや肩にキスを落としていく。

「十弥、赤ちゃんが……」

 制止しようとする玲奈の言葉にかぶせるように彼は言う。

「危険なことはしない。ただ、気持ちよさそうにとろける君の顔が見たいだけだ」

 彼の舌が淫靡な音を立てて玲奈の耳孔を蹂躙する。玲奈はたまらず甘く鳴いた。

「ふっ、あぁ」

 十弥は満足げに笑むと、今度は首筋を強く吸いながらつんと上を向いた玲奈の胸の先端をなぶる。強弱をつけて刺激され、玲奈は悶えた。

「あうっ」

 湯気のたちこめるバルルームに玲奈の甘い喘ぎ声が響き続けた。
 彼の指と唇で絶頂へと導かれた玲奈は、ぐったりと彼の胸にその身体をあずけた。

「よかったか?」

 からかうような色の滲む彼の声に玲奈はかあっと頬を染める。上目遣いに彼を見て、ためらいがちに言葉をつむぐ。

「その、でも、十弥は……」

 恥ずかしくて直接的な言葉は口にできなかったが、それだけで伝わったようだ。彼はふっと口角をあげると、玲奈の耳元に唇を寄せた。

「正直に言うと、君が欲しくてたまらない。でも今は我慢するよ」

 十弥は玲奈の頬にちゅっとキスをしながら言葉を続ける。

「その代わり、秋になったら思う存分に君を抱くから覚悟しておけ」

 玲奈の出産予定日は九月だ。その日をどんな気持ちで迎えることになるのだろうか。まだ想像もできないが、それでも幸せの予感を玲奈はたしかに感じていた。

 

















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